大学卒業後、やりたいことが見つからず過ごしていた時、たまたま手にした『広告』について書いてある本を見て、「広告業界って面白そう」と興味を持ったのです。すぐに『広告』で仕事を検索し、入社した求人広告の営業会社は半年で倒産、第二新卒枠でWeb広告の会社(東証一部上場)に転職をしました。結果によって賃金が上下する成果主義だったこと、また新卒入社組に遅れている分を巻き返すためにも、入社後は人一倍努力したことを覚えています。朝は7時からリストをつくったり、できる営業の方のトークを文字起こしして丸暗記したり、自身の言葉に置き換えるなど、土日も返上し毎日働きました。SEOを中心にWeb広告のテレマーケティングで新規顧客開拓を行っていたのですが、入社4か月後にグループ会社も含めた150名程の営業で4位になりました。
安定して結果が出せるようになってから2年半が経った頃、営業として力をつけてさらに稼ぎたいと、不動産業界に飛び込むことにしました。しかし、桁違いの厳しい営業が待っていました。毎日早朝から深夜まで1か月1万件の電話をかけアポイントをとる、顧客に罵倒されてもアポイントをとるまで引き下がらないなど、精神論の営業からアポイントの獲得や対面営業の難しさを感じたことで、積極的な営業ができずにいました。結果が出せなかたっため退職を決断しましたが、この苦難のおかげで強心臓が身に着き、営業として怖いものがなくなりました。
それから転職した前職のWebマーケティング会社では、入社2ヵ月でMVPを獲得、その後も数か月連続MVPとなったことで、4か月目にはグループ長兼コールセンター長に昇格しました。しかし、それまでDSP(※)を中心に営業をしていた私が配属されたのは、リスティング広告を主に取り扱う部署でした。「この状態で部下をもっていいのか」、昇格したからには人一倍やらないといけないと、リスティング広告など様々なWeb広告の商材で営業をし、知識とスキルを身に着け、結果を出し続けました。
(※)DSPとは、広告主の広告効果最適化を目指す広告配信プラットフォームです。広告枠の買付や配信だけでなく、広告配信に欠かせないクリエイティブの同時入稿によるABテスト等も可能です。
前職で5年ほどが経った時、独立することを前提に左子さんが入社し、私の部下として1年半ほど一緒に仕事をしていました。私は営業として顧客が求めていることを理解し、人との感情的な繋がりから関係を構築することが得意な反面、勤怠などを含めたシステムの入力など事務的で細かい管理があまり得意ではありません。そんな私の部下となった左子さんは、元信金マンとして細かい事務的な作業も含め、迅速かつ正確に対応できる力があります。また、良い意味で物事を割り切って考えられる人でした。仕事とプライベートを完全に分けている、かつ仕事の時はやるべきことをしっかりとやる人だと一緒に仕事をする中で感じたのです。
そして自身も実力と売上がついたことで会社を創ろうかと考え出していたこともあり、一緒に起業をしても感情論で揉めることもなく、管理領域をしっかりと対応できる左子さんとだったら経営ができると確信し、共に株式会社グローバルマーケティングを創業しました。
現在、私が担う重要な役割は、プレーヤーとして売上をつくること、また部下を自身と同じレベルまで育てていくことです。
まず、会社の売上をつくるために、部下の商談への同行ももちろんですが、プレーヤーとして既存顧客を中心に業界問わず大規模案件は私が対応しています。案件の特性上、顧客の事業モデルを深く理解した上での提案には一定のレベルが求められ、ある程度の経験が必要になるからです。
当社のWebコンサルティング部(営業)は課長もメンバーも全員20代で、業界未経験者も多い部署です。今後は私が対応する案件を任せていくためにも、外部コンサルタントの協力のもと、営業レベルを上げるマニュアルを構築しています。これまで約10年かけて培った私の営業スキルを言語化し、マニュアルに落とし込む作業は一筋縄ではいきませんが、時間をかけ細部まで落とし込むことで、部下が活躍できる機会を多く創出できると考え、今最も重要な業務として取り組んでいます。
もちろん営業として新規の獲得も嬉しいのですが、それ以上に顧客に信頼をしてもらい、どんどん任せていただけること、つまり投資いただける予算が増えることにやりがいを感じます。それは、自身だけでなく会社の成長にも繋がっていると感じられるからです。
予算を増やして任せていただけるということは、当社の営業や運用の対応力に満足いただいて、さらに投資をしたいと思ってくれたからだと思うのです。最初は数百万の予算が、数千万円に増額するなど、当社に任せていただけることがとても有難いですし、それに応えるために成長しなければと感じます。この感覚を部下にもたくさん経験して欲しいと考えています。
社員も有難いことに少しずつ増え、会社規模も成長していく中で、「自由の中に責任あり」という経営理念を社員一人一人がどう捉えられているかがこれから重要になってくると考えています。
当社は、時間で縛らない働き方をしている分、一人一人が自身の業務に責任をもち、結果を出すことを第一に求めています。もちろん結果が出なければお給料は下がりますし、シビアな一面もあります。ただ、1日に8時間労働してくださいと、決められた時間に常に集中して仕事をすることの方が難しいと思うのです。
特に営業は、対応する顧客によって連絡をいただく時間が異なります。だからこそ力の入れ加減(どこで集中するのか)は各々の裁量に任せています。その分結果が出ないときにどう行動するのか、理念のもと自身の成長と併せて責任をもって対応できる組織でありたいと考えています。
また、Webコンサルティング部の部長として、メンバーの営業力を強化しながら、部門を大きくしたいと考えています。そして部長など責任者の役職をどんどん部下に任せていき、将来的には私が営業組織にそこまで関与しない状態をつくることが理想です。営業は好きなので自身もプレーヤーとして営業活動を続けながらも、副社長として顧客の交流会への参加や、信頼関係を構築するための活動などに時間をかけ、組織のブランディングにも貢献していきたいと思っています。